tanasuexの部屋

〈宗教の生命は、善をなすことである〉

パリのノートルダム大聖堂の夢解釈! ~14

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 この写真は、シャーロック・ホームズ探偵の作者で有名なコナン・ドイルが1922年に発表した「コティングリー妖精事件」とされる妖精の写真です。後にこれは贋物とされたものです。《心霊術や神秘主義には、このようなことがたくさんあります。》

 また、1910年~20年代のこの時代、発明家のエジソンは、「人間の魂もエネルギーである」として、霊界との通信機(霊界ラジオ)の研究をしている。

『この周波数が現代物理学上、未知数であり完成されていないとされています。』

 

ユゴーとオカルト

      参考文献   白水社 Webマガジン『ふらんす

                  「19世紀のオカルティストたち」     中村隆夫            

            NHKテキスト 「ノートルダム・ド・パリ」 鹿島 茂

 

  我が国では、ユゴーは、作家として知られていますが、母国フランスでは、詩人として認識されていますが、その詩の神秘性もありオカルティストなのです。

 ユゴーとオカルティズムとの関わりはジャージー島での降霊術によって始まったと言われますが、彼が霊魂の不滅を信じるようになったのは1844年頃からと言われ、ジャーナリストで作家のアレクサンドル・ヴェイユ(1811 -1899)を通じて神秘主義に関する知識を得ていたといわれます。
 ユゴーが、ジャージー島に亡命していた1853年9月6日のことである。30年来の付き合いのジラルダン夫人が彼の亡命先の家「マリー・テラス」を訪れ数日間滞在した。彼女は新聞王エミール・ド・ジラルダンの妻であり、若い頃から社交界の華として知られ、また「シャルル・ド・ローネー子爵」という男性名で文化、社会、政治などにわたる時評を新聞に連載していた才女であり、また「ロマン主義のミューズ」としてジョルジュ・サンドと並び称された。ユゴーに降霊術を伝授したのがこのジラルダン夫人でした。
 彼女によるとテーブルは単にくるくると回るだけではなく、テーブルがこつこつと叩く音はアルファベットを示し、1回なら「A」、2回なら「B」というように書き留めれば、それらが単語になり文章にもなるというのだった。ユゴーと家族は早速試してみたがうまく反応しなかった。四角いテーブルを使っていたのが原因で、丸テーブルでなければならないということで、ジラルダン夫人が後日それを持って来た。9月11日にはユゴーの死んだ娘(1843年に18才の長女のレオポルディーヌがセーヌ川を帆送中、夫とともに溺死した事件は、ユゴーの心に絶望感を生みだしていた。)が現れ、それ以後彼はすっかり夢中になってしまった。その後、この交霊会はまる2年間続けられている。
 彼はモリエールラシーヌシェイクスピアといった作家たちだけではなく、マホメット、キリスト、ルターらと交信したという記録がされています。
 また、「話すテーブル」は絵を描いたり、ピアノを弾いたりもしたようだ。ユゴーの降霊術は1855年まで続くが、これに関してはユゴーが考えていたことがテーブルの言葉として出てきたのに過ぎないと否定的な立場を取る研究者もいるが、彼が亡命時代に神秘的な考えを深めていったことは事実で、この時期の彼の作品『静観詩集』、『諸世紀の伝説』などに降霊術に関わったことの影響が出ているとする研究者もいます。

 そして、もともと、ユゴーという人はイタコ体質とでも形容すべき霊感が非常に強い人でしたから、『ノートルダム・ド・パリ』の場合には、ノートルダム大聖堂と中世という時代に思いを馳せているうちに、彼の無意識の奥底にあったフランスの古層のようなものまで現れてきていますが、では、その古層とは何なのでしょうか?。
 この小説を書いたのは、資料の準備はしていましたが、執筆してからは、四カ月半の短期間であり、意識の集中があったと思われます。これは、個人的な見解として、スピリチュアリズムから言うと、これはユゴーが聖職者であったときの過去世の記憶ではないかとも思っています。特に[ 第三編二の  パリ 鳥瞰(ちょうかん)の個所など]です。

 

 映画『 ブライズ・スピリット』のジュディ・デンチふんする霊媒師が執り行う降霊会の一場面です。     
 

  以下、ユゴーの降霊会の様子の一部です。

                         ( 参考引用は、ヴィトルユゴーと降霊術 稲垣直樹 水声社刊 )

       日曜日の夜のこと、以下に記すとおりのことが起こった。


                                   ★
 1853年9月11日(日曜日)
出席者──ジラルダン夫人、ヴィクトル・ユゴー夫人、ヴィクトル・ユゴー、シャルル・ユゴーユゴーの長男〕、フランソワ=ヴィクトル・ユゴーユゴーの次男〕、ユゴー令嬢、ル・フロ将軍、トレヴヌー氏〔ふたりともユゴーの友人〕、オーギュスト・ヴァクリー。

 四角い大きなテーブルの上に丸い小さなテーブルを置いて、ジラルダン夫人とオーギュスト・ヴァクリーがテーブルに着いた。何分かして、テーブルが震えた。

ジラルダン夫人──おまえは誰?
 (テーブルは一本の脚を上げ、その脚をいっこうに下ろそうとしない。)
 [ジラルダン夫人]──何か嫌なことでもあるの? もし、あるのなら、一回コツンと叩いておくれ。ないのなら、二回コツコツと叩いてちょうだい。
 (テーブルは一回コツンと叩く。)
 [ジラルダン夫人]──何が嫌なの?
──ひし形。
(実際、私たちはひし形に座っていた。つまり大きいほうのテーブルのひとつの角を挟むようにして座っていたのだ。
 私にはまるで納得がいかなかった。ジラルダン夫人が私たちをからかって、わざとテーブルをコツコツいわせている。そうはっきり心のなかで思っていたわけではない。しかし、何かテーブルに語らせようとするあまり心が緊張して、知らず知らずのうちにテーブルに置いた夫人の手に力が入ることはありうる。そうは思っていた。ほかのテーブルを取りに行き、その上に小さいほうのテーブルを置いた。ジラルダン夫人とシャルル・ユゴーが下の支えのテーブルを直角に切る形で席に着いた。やがてテーブルが揺れた。)
ル・フロ将軍―私が今、何を頭に浮かべているか言ってごらん。
──貞操
(ルーフロ将軍は自分の妻のことを頭に浮かべていた。私はますます納得がいかなくなった。自分の妻のことを頭に浮かべている夫に向かって「貞操」と答えるのは、いかにも機知に富んでいて気の利いたことのように私には思えたのだ。それで私はその答を、ジラルダン夫人が考えたものとしたわけである。
ヴィクトル・ユゴーが何か言葉を紙に書いて、その紙を折ってテーブルの上に置いた。)
オーギュスト・ヴァクリー──このなかに、ある人の名前が書いてあるんだが、どんな名前か言えるかね?
──いいえ。
ヴィクトル・ユゴー──なぜだね?
──紙。
 (こうした答を次々と聞いて、私は、ひょっとすると……と思いはじめていた。ジラルダン夫人の意志が働いているのではないということをはっきりさせる必要から、念のため、シヤルル・ユゴーとこの私にテーブルに手をあてさせてほしいと申しでた。シャルルとふたりでテーブルに着いた。テーブルが動きはじめた。私は頭のなかに、ある大物の名前を思いうかべてこう言った。)
オーギュスト・ヴァクリー──私が今、頭のなかに思いうかべている名前は、どんな名前かね?
──ユゴー
 (確かにそれが私が思いうかべていた名前だった。これを契機に私はテーブルをいくらか信じるようになった。
 少し前から心が高ぶるのを感じていたジラルダン夫人は、幼稚な質問ばかりして時間を無駄にしてはいけないと私たちに注意を促していた。何かものすごい霊が現れるのを夫人は予感していたのだ。けれども私たちはといえば、相変わらず疑いを持っていたものだから、まあテーブルには答えられまいと思いながら、紙に書いたり頭のなかに思い浮かべたりした言葉がどんな言葉かいつまでもしつこく尋ねつづけていた。テーブルは支離滅裂な文字を書きはじめた。)
ジラルダン夫人──私たちを愚弄しているの?
──はい。
 [ジラルダン夫人]── なぜなの?
──ばからしい。
 [ジラルダン夫人]── さあ、そんなら、おまえ自身のことをはなしてごらん。
──気づまり。
 [ジラルダン夫人]──何が気づまりなの。
──疑い深い人。
 [ジラルダン夫人]──何一人、それとも何人も?。
──ひとりだけ。
 [ジラルダン夫人]──何その人の名前を言ってちょうだい。
──金髪の人。
(確かに、りっぱな金髪をしているトレヴヌー氏が私たちのうちでいちばん疑い深い人だった。)
 [ジラルダン夫人]──何その人に出ていってもらいたい?。
──いいえ。
               ☆

  

               ★
(テーブルは揺れ動き、行ったり来たりして、なかなか答えようとしない。私はテーブルを離れた。ル・フロ将軍が私に替わった。今テーブルに着いているのはシャルル・ユゴーとル・フロ将軍というわけだ。)
ル・フロ将軍──私が今、誰の名前を頭のなかに思い描いているか言ってごらん。
ジラルダン夫人(ル・フロ将軍の言葉を遮るように口を開いて)──おまえは誰なの?
──娘。
  (ル・フロ将軍は自分の娘のことを考えていたわけではなかった。私はと言えば、私は甥の工ルネストのことを考えていた。私が質問した。)
オーギュスト・ヴァクリー──私はいったい誰のことを今、考えているかね?
──死んだ女性。
ジラルダン夫人(たいそう感動した様子で)──死んだ娘なの?
  (私は同じ質問を繰りかえした。)
オーギュスト・ヴァクリ──私はいったい誰のことを今、考えているかね?
──死んだ女性。
 (今や誰もが亡くなったユゴーの愛娘のことを考えていた。)

ジラルダン夫人──おまえは誰なの?

──姉妹の魂。
 (ジラルダン夫人は姉妹のひとりと死別していた。自分がある人の姉妹だと言おうとして、テーブルはラテン語で姉妹と言ったのだろうか?)
ル・フロ将軍──今テーブルに手を置いているシャルル・ユゴーと私はどちらもそれぞれ姉妹をひとり亡くしている。おまえはいったい誰の姉妹なんだね?
──疑い。
 [ルーフロ将軍]──おまえの国は?
──フランス。
 [ルーフロ将軍]──町は?
 (答はなかった。今この場に死んだ女性が確かに来ていると私たち皆が感じていた。皆は涙を流した。)
ヴィクトル・ユゴー──幸せかい?
──はい。
 [ユゴー]──今どこにいるんだね?
──光。
 [ユゴー]──おまえの所に行くにはどうしたらいいのかね?
──愛すること。
 (皆が心を動かされたこのときから、テーブルはもうためらわなかった。皆が自分のことを分かってくれていると感じたのだ。質問するとすぐにテーブルは答えた。なかなか質問しないでいると、テーブルは動き、左右に揺れた。)
ジラルダン夫人──誰がおまえをここによこしたの?
──神さま。
 [ジラルダン夫人]──目分自身のことを話してちょうだい。何か私たちに言っておきたいことがある?
──はい。
 [ジラルダン夫人]──何なの?      
──あの世のことを思って心を悩ませなさい。
ヴィクトル・ユゴ──おまえを愛する者たちの苦悩が分かるかい?
──はい。
ジラルダン夫人──その人たちはこれから先も永く苦しむの?
──いいえ。
 [ジラルダン夫人]──その人たちはもうじきフランスに帰ることになるの?
 (テーブルは答えない。)
ヴィクトル・ユゴ──その人たちが祈るとき、おまえの名前を口にしたら、おまえはうれしいかね?
──はい。
 [ユゴー]──おまえはいつもその人たちのそばにいてくれるのかね? その人たちを見守っていてくれるかい?
──はい。 
 [ユゴー]──その人たちが来てほしいと望んだら、またここへ来てくれるかね?
──いいえ。
 [ユゴー]──でも、また来てくれることは来てくれるだろう?
──はい。
 [ユゴー]──近いうちに?
──はい。
                  (午前1時30分閉会。) 

 

          【こうして最初の「彼方の世界」との交信は幕を閉じるのである。】

 

                    ☆

                 ─────略──────

                             

           降霊術の実験でも、ほかのときにも何度か「ヨーロッパ合衆国」が出てくるが、なんと事もあろうに、抽象概念である「文明」そのものがテーブルに現れて、「ヨーロッパ合衆国」の実現が近いことを予言する。それだけではなく、「文明」は、この世にみずから(つまり、文明)を押し広めるのにもっとも尽力する現代人として、ユゴーの名を挙げるのである。こうした奇々怪々なことが起こる九月十五日の実験に、「文明」の話が佳境に入るところあたりから参加してみよう。実験は昼間行われ、参加者は当初ユゴー夫人、長男のシャルル、それにオーギュスト・ヴァクリーの三人だ。途中から、ユゴーが加わる。      

                  ★
[ヴァクリー]──おまえを地上に実現するのに、もっとも功績のあった当代の人物の名を挙げておくれ。
──ユゴー
 (ヴィクトル・ユゴーが入ってくる。今、5時45分である)
ユゴー──私を待っていたのか?
──待っていた。
ユゴー]──私が話相手になろう。
──民衆は王。王はトリブーレ〔フランソワ一世の宮廷づきの道化師。ユゴーの戯曲『王は楽しむ』の主人公。服従する「民衆」を象徴する〕だ。王杖は道化の杖だ。
ユゴー──今に、夜が明ける。こう、私は、ずっと思いつづけてきたのだが、おまえは知っているか?
──知っているとも、偉大な曙を歌う偉大な鳥よ。
ヴァクリー──地上に文明を押し広める当代の偉人の列挙を続けておくれ。
──シャトーブリアン〔フランス・ロマン主義の作家。政治家としては外務大臣を勤めた〕。
ユゴー──偉人の名前をおまえが偉大だと思う順に挙げているのか、それとも偶然に任せて挙げているのか?
──偶然などというものはない。
ユゴー──列挙を続けなさい。
──ナポレオン。
ユゴー──大ナポレオンのことだな?
──もうひとりのほうは墓場のみみずだ。
ヴァクリー──他の偉人の名を列挙してくれ。
  (答はない。)
ユゴー── 名前を列挙するより、私の質問に答えるほうがいいかね?
──そのほうがいい。
ユゴー──私が今、支えとなっている戦い〔ナポレオン三世の政権に対する戦い〕を、おまえは是とするか?
──「良心」のひそみに倣うことなどしない。
ユゴー──私の未来について何か言うことがあるか?戦うこの私に。
──苦悩する者たちみんなのことを話そうではないか。
ユゴー──フランスと世界に重くのしかかっている圧政が、いったいいつ終わるか、言えるかね?
──フランスは一つの国にすぎない。
ユゴー]──フランスはそうだ。だが、世界は?
──おまえの言う世界とは一つの地平線までの広がりにすぎない。
ユゴー]── ありとあらゆる文明をおまえはつかさどっているのか?
──そうだ。
ユゴー]──さまざまな文明の努力というものは、とくに婦人と子供に向かってなされるべきだ、と私はかねがね思っているのだが、おまえも同感か?
──それに、老人に向かっても、なされるべきだ。老人も、子供と同じくらい、墓場に近いのだから。
ユゴー]──墓場と夫人のことを私が以前おまえに話したのは、とくに未来のことを念頭に置いてのことだったのだ。
──教育は、呪われた社会が受ける洗礼式だ。
ユゴー]──そうすると、おまえの思うところでは、婦人の権利と子供の権利を保証して初めて人間の権利が保証されると、われわれが考えて当然なのだな?
──そうだ。
ユゴー]──宗教と聖職者たちを分けて考えるのが望ましい〔教会権力の教育への介入にユゴーは議会で反対した〕とおまえは思うのだな?
──どの宗教も冬に枯れ、春に息を吹き返す。
ユゴー]──そう、それで、神は永遠の樹液、社会は樹木、宗教は葉なのだな。
──そのとおり。
ユゴー]──私が自分のなすべき仕事を続ける、このことについて、おまえはどう考えるか?
──おまえは仕事を続けなければならない。未来を手に、時代の先駆けとなれ。
ユゴー]──少なくとも、ヨーロッパ大陸に自由が確立されるのを、私がこの目で見て死ねると思うか?
──見て死ねると思う。
ユゴー]──ヨーロッパ合衆国は?
──見て死ねると思う。
ユゴー]──その実現は流血の革命か、それとも無血の革命によってなされるのか?
──涙に比べたら、血は何ほどのものでもない。
ユゴー]──ヨーロッパの民衆が涙にかきくれるとき、たとえ流血の戦いを起こしてでも、これを救わなければならない、おまえはそう言いたいのか?
──そうだ。
ユゴー]──あと何年したら、ヨーロッパ合衆国を目の当たりにできるのか?
──六年。
ユゴー]──あと何年、ボナパルトの支配は続くのか?
──二年。
ユゴー]──共和政が続いたのと同じ期間だな。私が垣間みたあの法則、作用に見合った反作用、満ち潮に見合った引き潮がある、というあの法則によるのか?
──満ち潮と引き潮は人類の呼吸。
ユゴー]──また来れるかね?
──ああ。
ユゴー]──おまえにまた来てもらうには、どうしたいいのか?
──霊感を受けること。
ユゴー]──立ちさる前に、何か言いおくことはないか?
──偉大なる人よ、『レ・ミゼラブル』を完成させよ

                  ☆
                           (7時30分閉会。)  

     終わりのほうで、共和政が続いたのと同じ期間、ルイ=ナポレオンの政権が続くという言葉が聞かれたが、これはどういう意味か? 二月革命によって共和政が成立するのが、1848年2月下旬。ルイ=ナポレオンのクーデターによって共和政にピリオドが打たれるのが、1851年12月上旬。この間、約3年9ヵ月、共和政は続いたことになる。この降霊術の実験が行われているのが、1853年9月中旬。ルイ=ナポレオンが政権を握った1851年の12月上旬から約1年10ヵ月の歳月が流れている。この後2年、ルイ=ナポレオンの政権が続く、とテーブルは言っているのだから、通算すると、ルイ=ナポレオンの支配は約3年10ヵ月続くことになる。共和政の持続期間とテーブルが主張するルイ=ナポレオンの政権の持続期間はほぼ一致する。このことをユゴーは指摘しているのだ。また、最後で、「文明」がユゴーに、『レ・ミゼラブル』を完成させよ、と命じているが、これにこたえるかのようなことをユゴーは実際に行っている。『レ・ミゼラブル』という題名で一応総括できる『レ・ミゼラブル』の下書きを、ユゴーは1845年11月から1848年2月にかけて執筆していた。この原稿に本格的に手を入れはじめるのは1860年4月、つまり出版の二年前なのだが、このテーブルの勧告を受けた二ヵ月後、1853年11月に刊行された『懲罰詩集』の裏表紙の近刊予告に、ユゴーはこの小説の広告を出す。そして、その際、初めて『レ・ミゼラブル』というタイトルを使っている。

 

               ─────略──────

                                      ★

1855年7月2日、月曜日、[午後]9時30分。
出席者で記録係──アリックス氏。
シャルルとユゴー夫人がテーブルに着く。
十分経って、テーブルは自分のほうからコツコツ叩きはじめる。

──明日というのは「永遠」の苗字であり、今日というのは「永遠」の名前だ。芸術は美の良心。
  幸福は星の蜜であり、人間は諸々の世界の蜜蜂だ。神は恒星たちの入る蜂の巣の主だ。善良であること、それは自由であること。憐憫は苦しみの鍵。人の苦しみを慰めることは自分自身の心をしずめることだ。涙はそれを流すほうの傷も、流されるほうの傷もひとしなみに癒してくれる。愛といっしょになれば、涙は喜びの贈り物。子供はみな死体を挿し木にしたものだ。墓地は神の温室なのだ。
ユゴー夫人──知ってのとおり、私たちに降霊術の手ほどきをしてくれたのはジラルダン 夫人です。

  夫人について何ひとこと言ってくれたら、私はとてもうれしく思います。
──死んだばかりの人のことは、われわれは話題にはしないのだ。真新しい墓穴は広大無辺なる存在に所属する。新たに復活した者たちに対しては、神自らが話がある。死者たちが沈黙しているのは、実は、神が彼らに話をしているからなのだ。話をする死者たちもいれば、話を聞く死者たちもいるわけだ。
 [ユゴー夫人]──ありがとう。おまえの名前を言ってくれる?
──イザヤ〔旧約聖書に登場する予言者・神に対する信頼を常に持つよう説いたことで知られる。〕                   (午前0時35分閉会。)
                        ☆                                                    

                               【これが「降霊術の記録」最後の記録です。】

 この最後の記録はユゴーたちの降霊術のきっかけを作ったジラルダン夫人が三日前に亡くなり、この実験の行われた7月2日は、ちょうど夫人の葬儀の日に当たっていました。
ユゴー、ジラルダン夫人を「あの偉大な魂の持ち主」と呼んで、その死を悼んでいる。

こうして、2年間におよんだ降霊術の実験は、その冒頭の記録で主役を演じたジラルダン夫人に再び話を戻すことで、そして、その生命の終わりを話題にすることで、時間の円環をあまりにもぴったりと閉じる形を取るのである。「彼方の世界」の住人となったジラルダン夫人は、ついにユゴーの生前、ユゴーの前に現れて語り出すことはなく、降霊術というパンドラの匣(はこ)がユゴーよって再び開かれることはこののち、ついになかった。 

 ※ この時代の背景には、1848年のフォックス姉妹のポルターガイスト現象があり、1854年頃には、アメリカではなんと300万人以上の降霊術の愛好者と約一万人の霊媒がひしめいていました。これら交霊会に参加し、すべてを信じていた著名人には、アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンとその妻メアリー・トッド・リンカーン、社会改革者ロバート・オーウェン、ジャーナリストで平和主義者のウィリアム・トーマス・ステッドなど、また、進化生物学者のアルフレッド・ラッセル・ウォレス、電話の発明者アレクサンダー・グラハム・ベル、テレビ技術の発明者ジョン・ロジー・ベアード、発明家トーマス・エジソンの霊とコンタクトしたと主張した人物などなどです・・・・・・・・!!。

  

  夢解釈!~13の大祓祝詞「太祝詞言」 の一つとされる「一二三祝詞の解説です。

         ひ ふ み 祝 詞(意訳)

 

ひふみよいむなや こともちろらね しきる
ゆゐつはぬ そをたはくめか うおえ にさりへて
のますあせえ ほれけ

 

   神道家の大家と言われる人達によれば、この最初の「ひふみよいむなやこと」は、「1・2・3・4・5・6・7・8・9・10」であり、「ひと、ふた、みぃ、よぉ、いつ、むぅ、なな、やぁ、ここのっつ、とぉ(と)」であり、宇宙創成の魂の進化を表しているとされていますが、そのあとの解釈がありません。ここに全文を解説している意訳の解釈を紹介します。

 この祝詞「太祝詞言」として祈る時のリズムは巫女舞の時や繰り返し朗詠される時など4・5種類あるようです。

ひふみ祝詞の解説 (ある巫女の霊感と感応による)

ひふみよいむな
天照大神(みこ又は天皇)が人の前でお祈りをしている

※ みこは、人々の生活を守り、いく世もの間、過ごしてきた。

やこともちろらね
 火を守り、人を守り、長い時間、幾世代をも過ごしてきた
ヤコトモ-火の神のみ光をいただいて、人々を守り

しきる
天地(あめつち)のミコ、豊作の神に感謝して

ゆゐつはぬそ
 天候の神、海山の獲物の恵みに


 感謝し
チロラネ シキル ユヰツハヌソ ヲ──人々は豊作の神に感謝し、海の神山の神、きまた天候の神に感謝していた。

たは
父なる神、天なる神
タハ クメカ ウオエ ニサ リヘテノマス──天なる神、地の神、兄弟姉妹の神々よ、万物全ての神々よ

くめか
母なる神、地なる神

うおえ
強大な神々よ、万物めくるめく神々よ

にさ
集まりたまえ

りへてのます
集まれ、祝われよ

あせえほれけ
明日に向かって、栄えよ
アセエホレケ──天地万物の神の恵みに感謝し、額に汗して働こう


みこは、天地万物の神々に感謝し、人々が明日に向かって栄えるよう祈りつづけよ。みこに守られし人々よ。ここに集え、祝われよ。

 

 

   ※ パリのノートルダム大聖堂の夢解釈!~15  で最終 となりますが、この最終は「黒い聖母の秘密」です、これが大聖堂の本質です、それらの資料の収集と読み込み、そして編集するために期間を要しますので、

次回シリーズの『 視霊者の夢 』の夢解釈 ! を随時公開していきます。